
夏のビーチやマリンスポーツなど、楽しいレジャーの思い出をiPhoneのカメラで残したいと考える方は多いでしょう。しかし、そこで気になるのが「iPhoneは海水に浸かっても大丈夫?」という点です。近年のiPhoneは耐水性能が向上しており、「多少の水なら大丈夫」と思われがちですが、「海水」は、iPhoneにとって真水とは比べ物にならないほど危険な存在です。
本記事では、iPhoneの耐水性能の真実、海水が引き起こすリスク、そして万が一海水に浸かってしまった場合の正しい対処法や修理の必要性までご紹介します。
- 目次
iPhoneの「防水」と「耐水」は違う!知っておきたいIP性能
まず理解しておきたいのは、iPhoneは「防水」ではなく「耐水」仕様であるという点です。
- 防水:水の侵入を完全に防ぐ性能
- 耐水:ある程度の水圧や水深、時間に耐えられる性能
iPhoneの耐水性能は、国際電気標準会議(IEC)が定めた規格で示されます。「IP68」のように表記され、それぞれの数字が以下の性能を表しています。たとえば、iPhone 15 Proは「IP68等級」に適合しており、「最大水深6メートルで最大30分間」の耐水性能があるとされています。
なぜ危険?海水がiPhoneに与える致命的なダメージ
なぜ海水はiPhoneにとってこれほど危険なのでしょうか。その理由は、海水に含まれる「塩分」と「不純物」にあります。
強力な腐食作用
海水に含まれる塩分は、金属を急速に腐食させる(サビさせる)性質を持っています。iPhoneの内部には、基板やコネクタ、バッテリー端子など、精密な金属部品が数多く使われています。
海水が内部に侵入すると、これらの金属部品が瞬く間に腐食し始めます。腐食が進むと、電気が正しく流れなくなり、深刻なショートや基板の故障を引き起こす原因となります。これは真水に比べてはるかに速く進行するため、非常に危険です。
電気を通しやすい性質(導電性)
海水は不純物を多く含むため、真水よりもはるかに電気を通しやすい性質があります。そのため、内部に侵入した状態で通電すると、本来電気が流れるべきでない回路まで電気が流れてしまい、広範囲でショートを引き起こす可能性が非常に高くなります。
乾燥後に残る塩分や不純物
たとえ水分が乾いたとしても、塩分やミネラルといった不純物は内部に結晶として残ります。この残った結晶が、端子間の接触不良を引き起こしたり、部品の動作を妨げたりして、後から不具合を発生させる原因になることがあります。
一度海水に浸かってしまうと、内部は「サビ」と「塩の結晶」という、電子機器にとって最悪の環境になってしまうのです。
【要注意】水没時にやってはいけない誤った対処法
パニックのあまり、良かれと思って取った行動が、iPhoneに更なるダメージを与えてしまうケースは少なくありません。以下の対処法は絶対に避けてください。
すぐに電源を入れる・充電する
内部に水分が残った状態で通電すると、基板上でショートが発生し、基板が完全に壊れてしまう可能性が最も高い危険な行為です。
iPhoneを振る
振ることで内部に侵入した海水や水分が、まだ濡れていなかった部位まで広がり、被害が大きくなる恐れがあります。
ドライヤーで乾かす
ドライヤーの熱によって内部の精密部品が変形・損傷する危険があり、さらに風圧で水分を奥深くまで押し込んでしまう可能性もあります。
これらの方法は、いずれも状況を悪化させるリスクを伴います。焦る気持ちは分かりますが、まずは落ち着いて正しい手順で応急処置を行いましょう。
海水に浸かったiPhoneの正しい応急処置
もしiPhoneを海水に落としてしまったら、以下の手順で迅速に応急処置を行ってください。これはあくまで専門の修理に出すまでの応急的な措置です。
1.直ちに電源を切る
これが最も重要です。内部でのショートを防ぐため、すぐに電源を完全にオフにしてください。画面が映っている場合は、通常の手順で電源を切ります。反応がない場合でも、強制再起動は行わないでください。
2.ケースやSIMカードを取り外す
装着しているケースやアクセサリーをすべて取り外します。SIMピンを使ってSIMカードトレイも抜き取り、水分が内部に溜まらないようにします。
3.表面の水分を優しく拭き取る
糸くずの出ない柔らかい布(メガネ拭きなど)で、本体表面の水分を優しく拭き取ります。Lightningコネクタやスピーカー部分なども丁寧に拭きましょう。
4.真水で付着した塩分を軽くすすぐ(※自己責任で慎重に)
Appleの公式サイトでは、水以外の液体がかかった場合、Appleの公式では、特定条件で「ごく弱い流水ですすぐ」旨の案内が記載される場合があります。これは内部に入り込んだ塩分を洗い流すための応急処置ですが、内部への水の侵入を助長するリスクも伴います。
もし試す場合は、必ず電源がオフになっていることを確認し、端子部に直接水流を当てないよう注意し、外装の付着塩分のみを軽く流すに留め、自己責任で慎重に行ってください。
5.風通しの良い場所で徹底的に乾燥させる
電源コネクタを下向きにし、壁などに立てかけて風通しの良い日陰で自然乾燥させます。
サーキュレーターや扇風機の弱い風を遠くから当てるのも効果的です。完全に乾燥するまでそのままにしてください。この間、電源を入れたり充電したりしてはいけません。
応急処置だけでは不十分!プロによる修理が必須な理由
上記の応急処置を行い、幸運にもiPhoneの電源が入ったとしても、安心はできません。 応急処置では内部の塩分を完全に取り除くことはできません。残った塩分によって、見えないところでゆっくりと腐食が進行してしまうこともあり、数日後、あるいは数週間後に突然故障するケースがあります。
また、今は動いていても、いつ起動しなくなるか分かりません。バックアップを取っていない場合、突然の故障で大切な写真や連絡先などのデータをすべて失う可能性があります。
Appleの保証は対象外
液体による損傷は、Appleの1年限定保証の対象外です。本体内部にある液体浸入インジケータ(LCI)が赤く反応していると、保証期間内であっても有償での修理または本体交換となることがあります。見た目上は問題なく動いているように見えても、内部では深刻なダメージが進行している可能性が非常に高いのです。手遅れになる前に、一刻も早く専門の修理店に相談することを強くおすすめします。
iPhoneの海水トラブルは、信頼と実績のiCrackedへ
iPhoneの耐水性能は、あくまで真水に対するものです。海水は、内部の金属部品を腐食させ、ショートを引き起こす非常に危険な存在です。万が一、海水に浸かってしまった場合は、正しい応急処置を行った上で、速やかにプロに内部の点検と修理を依頼しましょう。
「どこに修理を頼めばいいか分からない」「大切なデータを守りたい」そんな時は、ぜひ私たちiCrackedにご相談ください。
iCrackedでは、訓練を受けた修理のプロが、お客様のiPhoneの状態を丁寧に診断します。損傷した部品の交換など、状態に合わせた最適な修理プランをご提案し、お客様の大切なデータ保全を最優先に配慮して作業を進めます。対面修理でお客様の目の前で作業を行うため、安心してお任せいただけます。
海水によるトラブルは時間との勝負です。少しでも早くご相談いただくことが、復旧の可能性を高めます。お近くのiCracked店舗へ、まずはお気軽にお問い合わせください。