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修理したiPhone 7の防水性能テスト

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iPhone 7/7 Plusから追加された機能や仕様の中で、多くの人が最も待ち望んでいたのが防水性能ではないでしょうか。
日本のユーザーは海外のユーザーと比べて防水に対する要求が強いように感じます。

私たちが真っ先に気になったのは「iPhone 7を修理しても防水性能は維持できるのか?」ということです。

「修理したiPhone 7の防水性能テストした人いないかな?」

淡い期待を込めて検索してみましたが、iPhone 7をお風呂に投げ込んだり、川の中で凍らせたり、一緒にサーフィンしたり、防水性能を確かめる動画は色々とありましたが、誰も修理したあとの端末のテストはしてくれていませんでした(笑)

「誰もやらないなら、iCrackedがやるしかない!」ということで、修理したiPhoneの防水性能テストを行いました!

※WEBで調べていたらiPhone7やAndroidの防水性能について誤解されている記事を多く見かけましたので、
スマートフォンの防水性能と注意点についてまとめました。

結論

フレームダメージのない端末 → 新品とほぼ同等の防水性能を保てます!

当初は修理後の防水性能にバラつきが出ましたが、試行錯誤しているうちに防水性能を保つためのポイントがわかってきました。フレームに損傷がない状態であれば、画面交換を行っても新品とほぼ同等の防水性能を保つことができました!

フレームダメージが軽微な端末 → ある程度の防水性能は維持できます。

「落下して角が凹んでしまった」というようなものであれば、専用の器具を使って修復できます。
フレーム修復を行ってから防水処理をすることである程度の防水性能は維持できます。「ある程度」を具体的に書くのは難しいのですが、「水に落としてもすぐに拾えば大丈夫だろうが、そのまま漬けっぱなしにしておくと徐々に水が浸水するだろう」という感じです。

フレームダメージの大きい端末 → 防水性能を保つことは無理でしょう。

今回はフレーム損傷の激しいiPhone7がなかったので防水テストは行っていませんが、これまでの経験から言うと防水性能を維持するのは無理だと思います。フレームの損傷が激しいものを完全に元通りにするのはまず不可能です。まっすぐに見えても実際には多少の歪みが残っており、画面との間にどうしても隙間が出来てしまいます。

なお、iCracked Storeではフレームが「への字」に曲がった端末など、基板に影響のある状態のものは登録修理業者の範囲を超えてしまうため修理をお受けしておりませんのでご了承ください。

防水テストの原理

防水性能のテストのために購入したのが「株式会社フクダ製 エアリークテスタ MSZ-700」です。

この機械はエアリークテスタとあるように、水の代わりに空気の漏れで防水性能を調べます。
フクダさんはリークテスタ専業メーカーで、スマートフォンなど小型電子機器のテスターでは世界最大手だそうです!

原理を簡単に書くとこんな感じです。(詳しくはメーカーサイト

  1. 密閉された測定室にiPhoneを入れ、設定した気圧、量の空気を一気に注入します。
  2. 防水性能が低下しているとスマホ内部に空気が侵入するので測定室内の気圧が低下します。
  3. 良品と比較してどの程度気圧が低下したかを測定することで漏れの大きさを調べます。
    (漏れが大きいほど内部に侵入する空気が増えるので、測定室内の気圧低下が大きくなります。)

良品(防水性能あり)
→ スマホ内部に空気は侵入しない
→ この時の測定結果が基準となります

防水性能が低下していると
→ スマホ内部に空気が侵入してしまう
→ 良品と比べて測定室内の気圧が下がる

このエアリークテスタの特徴は「大リーク(大漏れ)」と「小リーク(小漏れ)」を測定できることです。

大リーク=空気圧をかけると、いっきに内部に空気が侵入してしまう状態。
→ 同等の圧力がかかる水に落としたらすぐに浸水することが想定される性能です。

小リーク=大リークは発生しなかったが、そのまま空気圧をかけ続けると徐々に内部に空気が侵入していく状態。
→ 水に浸かったままだと徐々に浸水してしまうことが想定される性能です。

前述の「フレームダメージが軽微な端末」の修理では、大リークを抑えることはできましたが、小リークまで抑えることができませんでした。(もちろん損傷個所や内容によって異なりますので、軽微なら確実に大リークが抑えられるとはかぎりません。)

防水テストはこんな感じです

1.良品の測定(基準値の決定)

新品のiPhone7を測定してバラつきの確認と基準値を設定をします。

下部左側の「気圧ベント」をテープで塞ぎます。
(左右にスピーカーがあるように見えますが、左側はスピーカーではなく端末内外の気圧を調整するためのものです。空気は通りますが水は通らないようになっています。)

iPhone 7用に作成した治具をセットしたテスターに入れて測定します。
(横にあるのはiPhone 7Plus用の治具です。)

IPX7相当のテストを行うため気圧を10kPaに設定して測定します。(水深1mの水圧は約9.8kPaです。)
新品のiPhone 7を測定しても-0.025kPaの気圧低下が見られます。これは内部に空気が侵入しているのではなく、圧力により筐体に変形がおきて発生するものです。
この良品での結果を基準として、そこからどの程度気圧低下がおきるかを測定することで、修理したiPhone7の防水性能を確認します。(防水性能が低いほど、内部に空気が侵入するため、気圧低下が大きくなります。)

2.画面が割れたiPhone 7の防水性能

試しに画面の割れたiPhone 7を測定したところ、大リークが発生しており、気圧の低下は-0.819kPaでした。
これは、iPhone 7の画面交換を行い、接着シールなどの防水処理を行わずに組み立てたものと同水準の値です。

3.分解~組み立て

iPhone 7は防水のためにフレームと画面が接着シールでくっついています。

分解前にシールが剥がれやすいようにドライヤーやヒートガンであたためます。

フレームに残ったシールを剥がしています。
ひっぱっているので伸びて細い糸のように見えますが幅は2mmくらいです。

取り外した画面のネジ穴部分にも防水のためにゴムのカバーがついています。
(写真赤丸部分がゴムカバーです)

画面交換の際には、このゴムを新しい部品に移してあげる必要があります。

フレームに新しいシールを貼っていきます。

接着シールをキレイに貼り、接着効果を高めるひと手間加えることで高い防水性能を得ることができます!

ここの処理をいいかげんにすると防水性能は一気に低下します。

新しい画面を取り付けます。

画面交換したものであることが分かりやすいように、ローズゴールドのiPhone 7にベゼルが黒い画面を取り付けました。

画面交換前にあった気圧低下-0.819kPaは-0.017kPaまで抑えられています。

実際にはフレームの状態などによりバラつきが生じるため、修理した端末の防水性能をお約束することはできませんが、きちんと処理をおこなえばかなりの確率で防水性能を保つことができます。

実はフレームと画面の間の接着シールは、iPhone 6sシリーズから採用されています。
iCrackedでは当然iPhone 6sの修理でも新しいシールを貼って組み立てますが、以前、調査のため複数の修理業者で6sの画面交換を行った際には、多くの業者で接着シールを貼っていませんでした。

手間がかかるし、見た目も変わらないので省略しているのでしょうが、防水性能を謳っていないiPhone 6sもシールを貼ることで水濡れに対して強くなるので省略してはいけません。

iPhone 6sで接着シールを省略している業者さんは、iPhone 7でも省略しているのだと思いますが、これらの処理をきちんと行わないとiPhone 7の防水性能はほぼゼロになりますのでご注意ください!