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MWC Americas で驚いた!
コラム 最終更新日: 掲載日:

iCracked本社との打ち合わせのついでに9月12~14日にサンフランシスコで行われたMWC Americasを見てきました。

MWC(Mobile World Congress)とは通信キャリアや端末メーカーなどが加盟する業界団体GSMAが毎年2月にバルセロナで開催する展示会です。大手メーカーもMWCで新機種の発表を行うほど大きな展示会なのですが、今年はじめて北米でもMWC Americasとして開催されました。主催はバルセロナのMWC同様にGSMAですが、アメリカ企業が中心の業界団体であるCTIAも協力しています。

MWC(Mobile World Congress)の画像

会場はサンフランシスコのダウンタウンにあるMoscone Center。バルセロナのMWCと比較すると小粒でやや物足りない印象はありましたが、それでも開催期間は周辺ホテルは満室になっているところが多かったですね。ただでさえ値段が高いサンフランシスコのホテルが、開催期間は1.5~2倍に跳ね上がっていました!

キーワードは「5G」と「IoT」

今回のMWC Americasで特に目立っていたのは「5G」と「IoT」に関する展示です。
通信キャリアやチップベンダーなどは軒並み5Gの取り組みをアピールし、ソフトウェアベンダーも5Gを前提としたIoT関連の発表を行っていました。5Gは各社が実証実験を始めた段階なのでやむを得ないのですが、まだ具体的な製品やサービスではなく概念的な内容が多かったのが残念です。

MWC Americasの画像1
MWC Americasの画像2
MWC Americasの画像3

ちなみに2020年頃の商用化を目標としている5Gでは、10Gbpsという超高速の通信速度を実現しようとしていますが、それだけでなく「遅延が少ない」、「多数のデバイスが接続できる」ということを目指し各社が研究を行っています。
その背景にはスマートフォンなどの通信機器だけでなく、車や家電製品など様々なものに通信チップが埋め込まれ、常にクラウドに接続している世界が前提にあります。つまり「IoT(Internet of Things)」ですね。

今回の展示会では、さほど目新しいIoT関連の展示は見受けられませんでしたが、世界中の大企業がこぞって取り組んでいることを見ると、確実にそのような世界が来るということは感じることができました。

でも、、、驚いたのは全然違うこと!

会場となったMoscone Centerは、North/South/Westの3つの建物があり、通信キャリアや大手メーカーはNorthかSouthにブースがあったのですが、Westに「Repair Zone」という場所がありました。

なんとiPhoneやGalaxyのコピーディスプレイがたくさん展示されるではないですか!

Repair Zoneの画像1
Repair Zoneの画像2
Repair Zoneの画像3

中国の名も知らぬメーカーが20社くらいはあったでしょうか。ほぼ全て深センの会社ですね。

「日本人? 修理やってるの? プライスリストを送るね!」と、どこのブースでも即営業です(笑)

いくつかディスプレイを触ってみましたがそれほど悪くはなかったですね。ただ、問題なのは多数仕入れたときに品質が安定しているかどうかなので、展示会でデモ機触ったくらいでは判断できないです。プライスリスト送ってもらっても、iCrackedでは我々の品質管理システム導入している工場以外からは仕入れることはできないです、ごめんなさい!

もちろんコピー品と言っても勝手にロゴとか載せなければ違法ではないのですが、しかし世界的な展示会にコピー品を堂々と並べて品質の高さをアピールするとはびっくりしました。しかもAppleの本拠地の目と鼻の先で(笑)
ちなみにSamsungの説明員も苦笑していました!

中国メーカーのアグレッシブさには、ある意味頭が下がります(笑)

でも、日本も少し特殊かもしれない

今回は中国メーカーのアグレッシブさに驚くと同時に、MWCの主催者側がよくOK出したなということにも驚きました。日本の展示会であれば、主催者側がコピー部品を展示することを認めないような気がします。

でも、この日本人の感覚がもしかしたら特殊かもしれないなと感じたりもします。iPhone修理にしても日本では「メーカー以外の修理は違法端末?」という議論があったり、「登録修理業者制度」というものができたりしていますが、アメリカやオーストラリアなどでは全く逆のことが起きています。

現在、アメリカのいくつかの州では「Rights to Repair」という法案が審議されています。これはスマートフォンなどが複雑化し、ブラックボックス化している状況に対して、「製品を購入した消費者には自分の機械を修理する権利がある」という考えを基に、メーカーに修理方法などの開示を義務付けようという法律です。当然メーカー側は猛反対していますが。

どちらが正しい、正しくないという問題ではありませんが、まったく逆の動きであるのは面白いですね。

UberやAirbnbなど海外では日常的に使われているサービスも日本ではあまり普及しませんが、いずれも古くからある規制に引っ掛かってしまうことが要因の一つにあります。インターネット時代、スマートフォン時代の新しいサービスが、そんなものを想定していない時代につくった法律や規制が足かせとなって普及しないというのはもったいない気がします。

ちなみに個人的に一番規制緩和してもらいたいのはセグウェイなどの乗り物です。アメリカでは小型のセグウェイや一輪タイプのもの、電動のキックボードなどが普通に街中を走っています。日本でもコンビニにちょっと買い物に行くときとかに便利だと思うのですが、日本では公道で乗ってはいけないんですよね。

公道OKになったら確実に買います!